福岡高等裁判所宮崎支部 昭和26年(う)38号 判決
職権により原判決を調べてみれば、原判決はその法律の摘示の部において、被告人全部に対し、刑法第四五条前段及び第四八条第二項を挙示しているから、原判示第一三掲記の事実を除き、原判決は原判示第一乃至第一二掲記の被告人全部の各戸別訪問の所為は、いずれも併合罪を構成するものであると認定し、前示刑法の規定を適用したものと認め得られるが、元来、投票を得る目的をもつて多数の選挙人方を歴訪する場合は、原判示掲記のように、各被告人の戸別訪問の回数が多い場合、または、日時は異にするが、接近した異つた日時に二人以上の選挙人宅を訪問する場合でも、包括的に選挙罰則にいわゆる戸別訪問の一罪を構成するものとみるのが相当であると思料されるから原判決認定のように、被告人等の原判示掲記の各所為は、各個の訪問ごとに戸別訪問の罪が成立するものとして、前示併合罪の規定をもつて律するわけにはゆかない筋合である。さすれば、原判決はこの点において法律の解釈を誤つたため、法令の適用に誤があつて、その誤は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、この点においても原判決は破棄さるべきである。